• これがハガタと呼ばれる儀式の手順が書かれた小冊子。
  • 大判の薄いクラッカーという感じの物。これをパンの代わりとして食べます。
  • これがマッツァ。
  • こちらがセーダ―プレート。
  • セーダ―プレートの記述。
  • こちらがこのお祭りの日だけに食べられるマツァボール。
  • 年少者が聞く4つの質問が書かれたページ。

ユダヤ教の盛大なお祝い「過越しのお祭」(”Passover”)

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ユダヤ教の大きなお祝い過越しのお祭 

前にも触れましたが私の旦那さんはユダヤ人です。

 

と言っても旦那さんの家族は姪っ子ちゃん一家を除いて敬虔なユダヤ教徒では無く、大きなお祝いの事の時だけ

家族で集まって祝うという実にゆるーい感じのユダヤ教一家。

 

先日旦那さんの妹さんちで集まってお祝いした過越しのお祭り、英語でPass Over(パスオーバー)と言います。

 

今回はその時のお祝いの模様をご紹介しようと思います。

 

さてこの過越しのお祭りはユダヤ歴ニッサンの月(西洋歴で言うと3月から4月に当たる)の15日から8日間に渡って

祝うユダヤ教の大きなお祭りです。

 

今年の過越しのお祭りは4月19日(金)から始まりました。

 

パスオーバーのテーブルセッティング。

 

でこの最初の日の夜と2日目の夜に家族で集まってセーダー(Seder)と呼ばれる儀式です。

 

独特の儀式なのですがそれぞれ一つ一つに意味があるユダヤ人によっては重要な物になっています。

 

 

過越しのお祭り(Pass Over)っていつから始まったの?

 

そもそも過越しのお祭りって何のお祝いでいつから始まったの?って私自身良く理解していませんでした。

 

このお祝いは旧約聖書に基づいていてモーゼが神様から選ばれ、エジプトの奴隷だったユダヤの民を救い、自由の身

になった事をお祝いするまたそれを決して忘れないという意味があります。

 

そしてこの英語表記 “Pass Over” とはこれも旧約聖書から来ています。

 

かなり古い映画になりますが(私は小学生の時に観ましたが)チャールトン・ヘストン主演「十戒」という映画を観た事

のある方でしたらお分かりだと思います。

 

モ-ゼがユダヤ人を救ったという旧約聖書を映画化した「十戒」

 

エジプトで奴隷の民となっていたユダヤ人を救うべく神様がモーゼにエジプトの王に自由の身にする様訴えよと言い、

王に懇願しますがエジプトの王は全く聞く耳を持ちません。

 

怒った神様はモーゼに色々指示を出し、疫病やイナゴの大群等を10の災いを臨ませます。

 

その最後の10番目の災いが家の入口に印が無いエジプトにある家の長子を全て殺すという物でした。

 

モーゼはユダヤの民の家々に印を付けて神様にユダヤ人の家族だと知らせ、その家を通り越させて(Pass Over)

この災いからユダヤ人達を守ったのです。

 

このお話からこの言葉を用いて過越しのお祭り “Pass Over” と呼ばれる様になったと言われています。

 

過越しのお祭りの手順とは?

 

最初の夜と2日目の夜だけ行われるセーダ―(Seder) のお祝いの儀式はハガダ(Haggadah)と呼ばれるお祝いの為の

小冊子に基づいて始めて行きます。

 

これがハガタと呼ばれる儀式の手順が書かれた小冊子。

 

アメリカではこの小冊子はヘブライ語と英語で両方で書かれています。

 

英語とヘブライ語で書かれたハガタ。

 

まず母親がロウソクに火を灯しお祈りを唱える所から始まります。

 

母親によって灯されるロウソクは過越しのお祭りを祝う家庭に温もりと幸せをもたらすという意味が込められています。

 

母親がロウソクに火を灯していきます。

 

そして父親が式の始めを告げ、父親のリードに従ってハガタをみんなで読み上げて行きます。

 

お祝いの儀式の中で4回赤ワイン若しくは葡萄ジュースを口にします。

 

それはエジプト人の奴隷として苦労して来たユダヤ人が神様によって救われ、自分達の国に導いて下さったという事を

讃える為の意味があるのです。

 

1杯目は神様が過酷な奴隷労働からの解放して下さった事

 

2杯目は神様がエジプトからの脱出を助けて下さった事

 

3杯目はエジプト人からの追手から救って下さった事

 

4杯目はシナイ半島をユダヤ人の安住の地として導いて下さった事

 

という旧約聖書に書かれている神様のされた事に感謝して4杯の赤ワイン(若しくは葡萄ジュース)を飲むのです。

 

この後もハガタに書かれている順に読み上げたり歌を歌ったりしながら式が進められて行きます。

 

その中で面白いのがお祝いの席に参加している年少者が父親に「どうして今晩はいつもの夜と違うの?」から始まる

4つの質問をする部分があります。

 

年少者が聞く4つの質問が書かれたページ。

 

その質問に父親が答えるという形式でかつて自分達の祖先の人達がエジプトで奴隷として大変苦労した事、神様の救い

によって自由の身になった事、自由である事がどれ程素晴らしい事かを子供達に伝えて行きます。

 

昨年旅したイスラエルでの毎週金曜日に祝うサバスでも感じた様に親たちが代々子供達に自分達の祖先を敬い、歴史を

伝えて行くという姿にユダヤ人の強い連帯感を感じます。

 

過越し祭で食べられる物 

こうしてハガダに沿って儀式が進められていよいよ待ちに待った食事がスタートします。

 

結構ここまで辿り着くのに時間がかかるのでかなり空腹に 

 

でもまだ食事にありつけません。

 

というのは食事がスタートする前にこのお祝いの独特な習慣があるからです。

 

この過越しのお祭りの意味を改めて家族で向き合って改めてユダヤ人が自由の身になった事を再認識する意味があります。

 

セーダ―プレート(Seder Plate )という物をテーブルの中心に置いてそれぞれの意味を再認識するのです。

 

こちらがセーダ―プレート。

 

お皿の上には上の写真の様に

Maro’r (マロール)エジプト人の奴隷だった苦い経験を思い出す(西洋ワサビ)

Haroset(ハローセス) :煉瓦造りの重労働を思い出す(リンゴを刻んで甘い葡萄酒、シナモンやナッツ等を混ぜた物)

Karpas (カラパス):苦しみの涙の象徴(パセリと塩水)

Zeroah (ゼロア):かつてエルサレムにあった神殿に生贄として捧げられていた羊を象徴(羊の脛の骨)

Beitzah(ベイザ) :春の訪れを象徴(焼いた卵)

 

セーダ―プレートの記述。

 

パセリを塩水に付けて食べます。

 

最初これを説明を聞く前に私は何でパセリが?何故骨が?と不思議だなあと思いました。

 

一つ一つの意味を知るとユダヤ人の歴史を改めて感じます。

 

さてこのパスオーバーは別名「種なしパンのお祭り」とも呼ばれています。

 

というのはこのお祭りの一週間はイースト菌を使わないMatzah(マッツァ)と呼ばれる薄くパリッとしたクラッカー

の様な 感触のパンを食べる所から来ています。

 

これがマッツァ。

 

大判の薄いクラッカーという感じの物。これをパンの代わりとして食べます。

 

このクラッカーの様なパンはユダヤ人がエジプトから脱出した際に時間が無くて普通のパンを食べる事が出来なかった事

に由来しています。

 

一人一人回して小さく割って取り分けます。

 

こんな感じに。

 

パスオーバーの期間中にイースト菌が入ったパンを置く事が出来ない為、子供がいる家庭では子供達にゲームの様な

感覚でパンを探させるなんて事をしています。

 

実際に女の子が4人がいる旦那さんの姪っ子ちゃんから子供達がパンを探している写真が送られて来ました。

 

子供も楽しみながらこのお祭りに参加する、ユダヤ教は「家族」の絆をとても大事にしているのをこんな所からも

感じ取れます。

 

この習慣は歴史的な背景のみならずパンは膨らむ性質の物という所から高慢や偽善の象徴としても捉えられていて

このパンを家に置かないというのは内面の「悪」をお祓いするという意味もあるそうです。

 

日本の年末の大掃除とも似ていませんか。

 

かなり前置きが長くなりましたがこのパスオーバーの初日と2日目の晩だけに食べられる物としてこのマッツァの他に

マッツォボール(Matzo Ball)という粉を丸めたお団子入りのチキンスープの料理を食べます。

 

こちらがこのお祭りの日だけに食べられるマツァボール。

 

これはマッツォミール(Matzo Meal)と呼ばれる上記に紹介したイースト菌を含まない薄いクラッカーの様な物を

砕いて粉状にした物を水若しくは炭酸水と溶き卵で混ぜてお団子状にし、それを野菜の入ったチキンストックの

スープで煮込んだ料理です。

 

一言で言うと実にシンプルで 優しい味のスープです。

 

作り方はとても簡単です。

もし興味ある方はこちらのビデオをご参考に作ってみて下さいね。

 

このスープの他にサラダ、グリルしたチキンやブリスケット(Brisket)と呼ばれる牛肩バラ肉のオーブン焼き等を

メインとして頂きます。

 

チキンとシンプルなサラダ。

 

さて如何でしたか。

 

ユダヤ人の家族でお祝いする過越しのお祭り、パスオーバー。

 

先祖を敬い、歴史的な自分達のルーツを再認識してそれを子供達に伝えて行くという奥の深いお祝い。

 

こうした中にユダヤ人が遥か遠い昔に迫害されて生き延びて来た歴史とそれを誇りに思い、祖先が歩んできた歴史を

忘れずに語り継いで行くその姿勢に強い民族の繋がりを感じます。

 

今日も覗いて頂き、ありがとうございました!

 

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