• これはホテルの場バンケットルーム前にセッティングされていたロウソクと案内板。
  • これはある家族の13歳の男の子のお祝いBar Mitsva (バーミツバ)と安息日のお祝いの会場前の案内板とロウソク。
  • これが安息日中の土曜日午前中の同じ場所から撮影した風景。全く昼間なのに車が走っていません。
  • 白いテーブルクロスを敷くのが安息日の習慣。
  • 外のBBQコンロでグリルしたお魚。こちらもちょうど良い塩加減でした。
  • これがお祈りをしながら塩をかけて切り分けて口にした手作りのパン。
  • この様な手の付いた手を清める入れ物がどこのトイレにもありました。これはホテル内の物。

未知の国イスラエルへの旅② ~番外編~

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さて番外編イスラエルへの旅、第二弾は毎週金曜日の日没~翌土曜日の日没を安息日として祈りを

捧げる敬虔なユダヤ教徒の人々の過ごし方をご紹介したいと思います。

 

安息日の由来とは? 

この「安息日」を英語で Sabbath (サバス)と呼びます。

そもそもこの安息日は何故金曜日に設定しているのか、何をするのかって?思いますよね。

 

ユダヤ教は新約聖書では無く旧約聖書を元に代々受け継がれて信仰されている宗教です。

この旧約聖書の「創世記」の中で神様が天地創造の7日目に休息を取ったことに由来し、何も行って

はいけない日として定められ、そしてその日は週の7日目、土曜日に当たります。

土曜日の定義を深夜を一日の始まりとする現代の時報で行くと金曜日の日没から土曜日の日没を指します。

 

ユダヤ教では安息日は聖なる日であり、いかなる労働も行ってはいけないと戒律で定められています。

 

つまり神様がこの世を創った事を確認し、その神様がユダヤ人の歴史を救った事、イスラエルが神の民

である事を記憶、再確認をする記念日なのです。

 

このいかなる労働というのは家事を含めて金曜日の日没以降一切の労働(労働=聖書では耕す事、刈り取り

をする事、火を焚く事とされている)を指します。

なので仕事も休み、買い物(お金を触っても駄目!)、運転、乗り物(バス・電車)に乗る、料理、洗濯と

いった家事全般も一切出来ません。

 

また電気を付ける事はつまり火を焚く事と同じ意味とされ、電気のスイッチを触る、電気系統の物に触る

(電話、スマホ、テレビは勿論NG !)っていうのも全く持って禁じられています。

 

この話は以前からユダヤ系アメリカ人の友人から教えて貰っていましたが実際目の前でこうした戒律を

きちんと毎週毎週守っているのをやっているのを見て凄い徹底と強い信仰心が伝わって来ました。

 

私だったら面倒くさいから今週はパス!ってな感じにしてしまいそう。

まあそんな人は敬虔な信者にはなれませんが・・・

 

安息日ならではの面白い光景 

次回の第三段以降で詳しくご紹介しますがユダヤ教徒には幾つかグループがあり、超が付く程の敬虔な

ユダヤ教徒から全くユダヤ人っていうだけで教会すら行かないユダヤ教に興味の無い人達とまさに色々。

 

姪っ子ちゃん夫婦はその中では正統派と言われるグループで超が付くまではストイックではないけれど

ユダヤ教の戒律を忠実に守っている人達です。

 

到着した翌日が安息日で生まれて初めて体験する安息日に期待が高まり、目にするもの全てが興味を

そそる物ばかりで好奇心旺盛な私はキョロキョロ!

 

先述した様に金曜日の日没から翌日土曜日の日没まで運転はしてはいけないので特に土曜日、終日ホテル

の窓から見る高速道路にほとんど車が走っていないのにびっくり。

 

走行しているのはアラブ系若しくはレンタカーを借りている観光客位。

因みにこうした理由でタクシーの運転手はほぼアラブ人でした。

 

アラブ人は安息日という習慣は無いのでユダヤ人が仕事が出来ない所をついてお金稼ぎをしている

んだなんていう声を数多く聞きましたし、実際にタクシーの運転手、宿泊したホテルの従業員、メイド

に至るまで見た限りほぼアラブ人でした。

 

ロサンゼルスで例えると大半の仕事をメキシコ人がやっている様な感じ?

 

これは通常の日に撮影したホテルの部屋から撮った高速道路の写真。

 

これが安息日中の土曜日午前中の同じ場所から撮影した風景。昼間なのにほとんど車が走っていません。

 

またホテルのエレベーターも電気を付ける行為と同じと捉えられているので一切押してはいけない事に。

 

安息日中はホテルのエレベーター、2基あるうち片側は自動運転、各階に停止するモードに。

 

なので結構沢山のユダヤ教徒の人達はエレベーターが来るまでずっと待ちぼうけって事になってました

 

私は勿論ユダヤ教徒では無いので普通に押して乗れる方を利用してましたけど・・・。

 

ホテルのエレベーターのボタン。安息日中はどちらか片方が自動運転モードに。(安息日モードになっている場合は矢印のどちらかのボタンが赤く点灯)

 

また興味深かったのが家事も一切金曜日に日没後は出来ないのでそれまでに奥様方は買い物に出かけ、

2日分の食事(冷めても食べられる物を用意あるいはお鍋等タイマー設定をしておく)を用意します。

 

でここで素朴な疑問。

電気が使えないなら食べ物を保存する冷蔵庫は一体どうなっているの? 

 

姪っ子ちゃんに聞いたら電気を入れっぱなし、付けっぱなっしにしておくのは良い、なので冷蔵庫は

通電状態にしておくのは問題ないけれど開閉時に電気が付いたり消えたりするのがまずいんだと。

因みにキッチン、ダイニングルーム、トイレは安息日中ずっと終わるまで付けっぱなしでした。

 

そこで見たのがLG製の冷蔵庫。残念ながらパナソニック製とか日立製といった日本のメーカーで

ありませんでしたが・・・ 

 

LG製の冷蔵庫には安息日モードというのが付いていて日没前にスイッチを入れるとドア開閉時に電気

が付かない設定になると言うもの。

多分日本製の冷蔵庫でもその様な機能があるのかもしれませんが・・・。

 

これが安息日モードに設定できるLG製の冷蔵庫。

 

安息日に行う独特の習慣 

姪っ子ちゃん、あらかじめ日没の時間を調べて忘れない様にまた間違えない様に紙に書いて冷蔵庫

に貼り付けて何度も確認していました。

 

日没の時間を間違えて電気のスイッチやら電化製品を触ったら大変な事になるので時計を何度も確認。

 

夕暮れが近づくと家族皆お風呂に入って体を清めてまるでどこかお出かけする様な服に着替えます。

 

ホテルでも安息日を祝う男性用の祈祷の場所やパーティーの様なセッティングをしていましたし

そこに集まって来る人達は誰もが着飾っていて中には結婚式でも行くのかと思う程正装している人

もいました。

 

これはホテルの場バンケットルーム前にセッティングされていた案内板とロウソク。

 

 

ある家族の13歳の男の子のお祝いBar Mitzvah (バーミツバ)と安息日のお祝いの会を知らせる案内板とロウソク。

 

 

日没と共に男性陣はユダヤ教の教会(Synagogue:シナゴーグ)に安息日のお祈りを捧げに集まります。

男性が戻るまでの間、女性は安息日のお祈りの為のセッティング、夕食の支度に取り掛かります。

その際に白いテーブルクロスをテーブルに敷き、ロウソクに火を灯します。

 

 

白いテーブルクロスを敷くのが安息日の習慣。

 

教会でのお祈りを捧げて帰宅した男性が戻ると今度は独特の手の付いたジョッキの様な入れ物を使って

水を汲んで一人ずつ手を洗って清めます。

私も一緒に見よう見真似で手を清めました。

その行為が私達日本人が神社でお参りする前に手を清める様な作法に似ているなと。

 

この様な手の付いた手を清める入れ物がどこのトイレにもありました。これはホテルのトイレの中の物。

 

そうして厳かな安息日のお祈りが始まりました。

 

一つ補足ですがこの安息日を「花嫁」と呼ぶ習慣があるんだそうです。

何故ならば聖書に「安息日を聖とせよ」という言葉があり、この「聖とせよ」をヘブライ語で

キディッシュ=結婚するという意味もあって安息日を聖なる日として分けて結婚せよと解釈した様です。

 

国を追われ流浪の民として長年迫害から生きながらえて来た根底にはこうした安息日を伴侶にするという

つまり神様との繋がりを強く意識して来たからこそ強い民族の団結と存続の底力になって来たのかなと感

じました。

 

さて厳かな儀式はまず姪っ子ちゃんの旦那さんがなみなみと注いだ赤ワイン(葡萄酒)持ちながら

ヘブライ語による歌の様にも聞こえるお祈りを始め、一気に飲み干します 

 

このなみなみの赤ワインを注ぐというのは赤ワインはユダヤ教徒にとっては欠かせない物。

葡萄は神様が創造したもの、そこから人間が葡萄酒を創った事からこの赤ワインは神様と人間の共同作業

で創り上げた神聖な物ととされているのです。

また赤ワインは喜びの象徴でもあるので溢れる様に注ぐんだそうです。

 

それを見届けて各自のグラスに少しずつ赤ワインを注ぎ、全員が赤ワインを口にします。

 

まだまだお祈りは続き、今度は布を被せたパン(姪っ子ちゃん手作りのパン)を布から出して塊を手に

持ち、そこに塩を振りかけてお祈りを捧げます

 

パンに塩?奇妙な光景にまたまた好奇心がむくむく(笑)

 

何故パンに塩にと聞いたら色々な説があるらしいのですが食卓はシナゴーグ(ユダヤ教の教会)の祭壇の

象徴として考えられ、ユダヤ神殿があった時代に常に塩が祭壇に捧げられる物に用いられていたのでこの

しきたりを記憶する為に塩を振る習慣が残っているんだと言う事でした。

 

また安息日のパンに被せてある布ですが先述した様に安息日は花嫁に例えられているので花嫁のヴェール

を祝福のお祈りが終わった後で取り除く様にという意味で布で覆っておくのだそうです。

 

それぞれの行為に意味があって実に不思議な儀式。

 

パンの祝福のお祈りが終わると姪っ子ちゃんの旦那さんが人数分のパンをナイフで切り分け、それを

皆で取り分けて口にします。

 

このお祈りで安息日の始まりの儀式が終わります。

 

さて滞在中2回この安息日を体験。

安息日中はスマホが使えないので何を食べたか全てを写真に収める事が出来なかったのですが安息日が始まる

前に撮った食事の極一部をご紹介しましょう。

 

塩を振りかけて切り分けて食べた手作りパン。真ん中のお鍋にはほうれん草のスープが。シンプルでヘルシーな食事。

 

外のBBQコンロでグリルしたお魚。こちらもちょうど良い塩加減でした。(わかりにくいですがお皿に盛ってある黒い物体が魚です)

 

安息日(Sabbath)についての紹介ビデオです。

興味のある方はこちらからどうぞ

↓ ↓ ↓

https://www.youtube.com/watch?v=vjmjZWHXKFY

 

安息日は家族で団らんの日 

安息日が始まると先述した様にテレビもスマホも触れません。車も運転出来ませんし、バスや電車にも

乗れません。

 

じゃあ何して過ごすの?ってなりますよね。

 

安息日は家族団らんの日、家族でお話をする、本を読む、歩いて公園に行って遊ぶ、昼寝をする等のんびり

過ごすという日なのです。

なので私も公園に行って姪っ子ちゃんの3人のちびっこちゃん達と小学校卒業以来?っていう位久しぶりに

ブランコに乗ったり滑り台で遊んだり。

まさか50過ぎの私が公園でそれも子供達に混ざって遊ぶ事になるとは全くもって想像してませんでした(笑)

 

こうして土曜日の日没が来ると安息日も終盤です。

 

安息日の終わりの儀式 

安息日の終わりの儀式を Havdalah (ハブダラ)(日本語では分離という意味)と呼びます。

聖なる日から別れて新たな週を迎えるという意味の儀式です。

 

男性陣はまず安息日の始まりと同様にシナゴーグ(ユダヤ教の教会)に行き、祈りを捧げます。

帰宅すると部屋を暗くしてハブダラ用のロウソクに火を灯し姪っ子ちゃんの旦那さんが再度グラスに赤ワイン

をなみなみ注ぎ、神様への救いを讃え、ワインの祝福を行った後、香料の入った入れ物を回しあって香りを

嗅ぎます。

 

この香料を嗅ぐっていう行為も不思議な行為でした。

いきなり香料(クローブの香り?)の入れ物が回って来てこの時は意味が分からず見よう見真似でクンクン(笑)

 

後で聞いたらこの香料の意味は安息日の豊かな恵みを象徴していて恵みに感謝するという行為だそうです。

 

その後、姪っ子ちゃんの旦那さんがワインを一気に飲み干してグラスに残ったワインでロウソクの火を

消して部屋の明かり(電気をやっとここから使えるようになります!)を付けます。

 

ハブダラの歌を歌って皆で「Shavua tov シャブア トーブ(良き週を!)」と挨拶を交わして聖なる

安息日に別れを告げます。

 

こうして金曜日の日没から始まった安息日がやっと終了します。

 

一つ一つに意味があり、全て紀元前から代々受け継がれてきた物。

日本人の私(一応カトリック系の学校で小・中・高・大学とキリスト教を学んで来たもののキリスト教

とは全く違う)には到底理解出来ないユダヤ教と向き合い、それも毎週金曜日、土曜日にこうした儀式を

行い、子供達に受け継いでいる姿を見てユダヤ人の神様への強い思い、伝統を重んじる静かな力というか

神秘的なパワーを肌で感じました。

 

こちらから安息日の終わりの儀式 Havdalah(ハブダラ)についての紹介ビデオです。

ご興味のある方はこちらからどうぞ。

↓ ↓ ↓

https://www.chabad.org/library/article_cdo/aid/253217/jewish/How-to-Make-Havdalah.htm

 

さてイスラエルの旅はこの辺で。

次回は敬虔なユダヤ教徒のええ~?って私達日本人には到底考えもつかない食事に関する習慣の違い

についてご紹介したいと思います。

 

今日も覗いて頂き、ありがとうございました!

 

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