未知の国イスラエルへの旅③ ~番外編~

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ユダヤ教独特の食べ物の戒律、Kocher(コーシャー)

番外編イスラエルへの旅、第三弾はユダヤ教徒が守っている食事に関する戒律について触れたいと

思います。

 

ロサンゼルスに移住してKocher (コーシャー)という言葉を良く耳にして初めは???に。

 

旦那さんがユダヤ系アメリカ人という事は番外編①で触れましたがユダヤ教の大きなお祝い時に

Kocher Marketに行って特別な食材やお菓子を度々購入するのでそこでKocherの意味をやっと理解。

 

Kocher(コーシャー)とはユダヤ教が定める食べ物に関する戒律の事を指します。

食べ物と言っても範囲は広く、人が口にするものとして調味料、薬、サプリメントといった物も対象

となります。

 

このコーシャーの認定を受けるには厳しい審査があります。特殊な処理による肉(牛肉、羊、鳥)

や加工製品については製造過程において混ざり物が入っていないかちゃんとナイフから調理器具

まで肉と乳製品が分かれて加工されているか厳しく審査されるのです。

 

この認定する方法は幾つかあり、こうした特別に加工技術が出来る会社が認定する方法と企業に

ラバイというキリスト教で言うところの司祭の様な人が直接赴き、製造工程をチェックし直接認定

をする方法とがあります。

 

認定を受けた製品にはコーシャーである事が一目瞭然で判る印をパッケージの表に印字が出来ます。

 

アメリカではコーシャー専用のスーパー以外にもWhole foods Market やTrader Joe’sといった一般の

スーパーマーケットでもこうしたコーシャーの認定マークが印字された物が多く売られています。

これはエルサレムのスーパーで購入したピーナッツバター。コーシャーの証である印が。(赤い〇の部分)

 

これはTrader Joe’sで売られているシリアルの箱に印字されているコーシャーの認定マーク。(赤い〇の部分)

 

これもTrader Joe’sで売られているマスタードにもコーシャーマークが。(赤い〇の部分)

 

最近ではコーシャーの認定を受けた製品は品質が高く身体に安全だという事でユダヤ教徒でない人も

コーシャーマークの付いた製品を敢えて購入するっていう人達が増えているそうです。

 

食べ物に関する戒律はいつから始まったの? 

じゃあこの食べ物に関する戒律っていつどこから始まったの?って疑問に思って調べてみました。

 

でまず知った事の一つ、この戒律が定められたのが実に2世紀末の時代に遡るんです!

 

前にもちょこっと触れましたがユダヤ教は神様が人類を創ったとされる創世記から始まり、エジプトで

迫害を受けていたユダヤ人を救うべく神様から任命を受けたモーゼがエジプトから脱出させる出エジプト記

神様から啓示を受けて手に入れたTorah(トーラー)そして神様から伝えられた律法を語り継がれ、

後に書物としてまとめられたTalmud(タルムード)という書物で様々な戒律が細かに定められています。

 

このタルムードの中のハラーハ―(Halakhah)という部分に細かな食べ物に関する戒律が定められている

のです。

 

その中で神様が神様に捧げる物として清い物、ふさわしくないとする清くない物を詳細に記述しています。

 

敬虔なユダヤ教徒達は神様が清い物として考えられている物を口にする事、清くない物として考えられ

ている物は口にしない事で神様に従う、正しく生きて神様に近づこうと努力していたのです。

 

今の今までユダヤ人達はずーっと気が遠くなる程長い年月、食べ物に関する(食べ物だけでは無いですが)

戒律を厳格に守って来たんですね~。

 

こういう観点から見てもユダヤ人って真面目というかそこまでしてまでも強固にユダヤ教という宗教を

守って来たんだというパワーを感じます 

 

面白い食べ物の戒律について  

では具体的に食べ物の戒律って何っていう所をご紹介して行きましょう。

 

(1)4つ足の動物のうち蹄が全く分かれ、反芻(はんすう)する動物は食べても良いとされて

います。この2つの条件を満たしていない草食動物、ウサギ、豚は食べてはいけません 

 

(2)海・川・湖に生息する生き物でヒレとウロコがある物は食べても良いとされています。

海老、カニ等の甲殻類、貝類、タコ、イカ、鰻等は食べられません。

→ 敬虔なユダヤ教徒の人はお寿司屋さんと鰻屋さんにはいけないですね(笑)

 

(3)鳥の中で食べてはいけないのは鷲、鷹、カモメ、ダチョウ、フクロウ

→これは日本人でも食べませんが・・・(笑)

 

(4)血を食べる事が出来ません。食べても良い動物の肉でもコーシャーの定義に沿った血抜き

をした肉でなければ口に出来ません。

 

肉の処理をする事が出来るのはお肉として加工する=命を貰うという考えに従って動物に

痛みを感じさせ無い様に処理する特別に訓練を受けた人達のみ。

 

24時間以内に血管・筋を取り除き、肉に塩をかけ、さらに血抜き処理を行います。

その後水に漬けてさらに血抜きを徹底的に行います。

 

こうして初めてコーシャーの認定が受けられるのです。

 

(5)食べて良い物の他、調理法や調理場所等細かに戒律が定められてる代表的な物として

肉と乳製品の混食及び肉と魚の混食の禁止があります。

 

これは戒律に記載されている「子ヤギとその母の乳で煮てはならない」という記述から来てい

るもので肉類と乳製品を一緒に口にする事を禁止しているのです。

 

またお肉と魚を同時に食べてはいけないのはいろいろ調べるとこの戒律が作られた時代はライ病

等の様々な疫病が蔓延していた時代でもあり、治療法が確立していなかった為に病気の防止とい

う意味もあり戒律を作ったラバイ達の個人的な考えや嗜好が反映されて出来た様です。

 

この様な食べ合わせのルールがあると同時に肉用、魚用、乳製品用の調理器具、食器さらにフォーク

やナイフといったカトラリー類、食器を拭く布巾、それぞれの食材を保存する場所(冷蔵庫の場所)

もそれぞれ絶対に触れない様に分ける事が決められているんです。

 

家庭によっては冷蔵庫、食洗器も2台ずつ所有している人もいるとか 

 

お肉用、魚用、乳製品用の調理器具、お皿、カトラリーとどこの家庭も家族が多いとその人数分

揃えるので大変です!

 

さらに一旦乳製品を口にした場合、6時間以上経たないとお肉を口にする事が出来ません。

(オランダ系ユダヤ人は1時間、ドイツ系ユダヤ人は3時間という規律もある様ですが)

 

なので旦那さんから聞いた話ですが以前敬虔なユダヤ教徒の人と遅めのビジネスランチをした際、

時計を気にしていたので聞いた所、朝に乳製品を食べたので6時間ちゃんと経過しているかチェック

してるんだと言われた事があるそうです。

 

こう考えると非常に面倒というか複雑というか何というか・・・。

日本人にはこうした習慣は一切無いので大変だなあと。

まあ彼らは毎日の事なので大変だという認識は無いようですが。

 

旅行中に目にした体験した不思議な習慣 

先述した通り、お肉と乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト、バター)そしてお肉と魚は絶対に同じ

タイミングでは食べられない戒律となっている為、ホテルの朝食・夕食はと分けられていました。

 

朝食のビュッフェにはチーズ、ヨーグルト、牛乳が並んでいましたがハムやベーコン、お肉を使った

料理は一切置いてありませんでした。

 

その代わり酢で〆ている魚や魚の燻製が置いてあったのには驚きでした。

 

これが意外に美味しくて日本人の味覚に合う(日本酒に合いそう(笑))感じた料理でした。

 

こちらが朝食ビュッフェのバラエティ豊富なチーズコーナー。

 

こちらはシリアル、ヨーグルトのコーナー。

 

朝食時のビュッフェでの酢で〆ている魚、燻製の魚のコーナー。

 

そして夕食のビュッフェは逆でお肉の料理はいろいろありましたが勿論チーズ、牛乳は置いてありま

せんでしたし一切牛乳、バターや生クリーム等を使った料理は出されていませんでした。

ほとんどが野菜と一緒に炒めている牛肉料理やトマトソースの鶏肉料理等々。

 

またへえと思ったのが私達が泊まったホテルのアラカルトのお料理が楽しめるレストランでの出来事。

 

レストランに入ろうとしたらウェイトレスに「お肉を食べられますか? 乳製品を食べられますか?」

といきなり聞かれて最初何言ってるんだ? どういう意味?と理解出来なかったのですがこのユダヤ教

のお肉と乳製品を同時に食べてはいけないという戒律に従ってレストランも乳製品・魚のエリアとお肉

のエリアと2つに分かれていたのです。

 

従ってどのホテルも食事をする場所だけでなくキッチン、保存場所、お皿、カトラリーに至るまで2つ

別々に分けて管理、調理されているのです。

 

これにはびっくり。まず日本ではあり得ない光景だったので・・・

 

また姪っ子ちゃんちにお邪魔した時、冷蔵庫を見させて貰ったのですが乳製品とお肉が絶対に触らない

様に保存場所をしっかりと分けていました。

 

さらにへえ!なんじゃ?と思ったのがシンクが2つどの家庭でもあり、片側は乳製品を処理する、

食べたお皿等を洗う側、もう片側はお肉を処理する、食べたお皿等を洗う側とちゃんと区別されて

いる事。

 

そして極めつけがお皿を絶対にシンクの中に置いてはいけない、お鍋も底をシンクの底に付けないで!

と言われた事でした。

 

何故?と聞いたら何が触れたかわからない、食べ物の汚れが流れて行く所そして汚れが付着しているから

清い場所では無いからとの事 

ちょっと潔癖症ですか?って言う位徹底しています。

 

そう言われて食後に私はお皿洗いを手伝ったのですがお肉が焦げがついたフライパンやほうれん草が

こびりついた鍋底を洗うのにシンクの底に付けずに洗うのがなかなか汚れが取れなくて一苦労でした(笑)

 

いやあ色々な国を旅して来た私ですがここまで食事に関する様々な規律がある国、というか宗教、そして

それを面倒くさいって思わずにしっかりと守っているのを見て文化の違いって本当に面白いなと思ったの

でした。

 

次回は見て聞いてぶっ飛んだ超が付く敬虔なユダヤ教徒の不思議~な服装、彼らの生活スタイルについて

ご紹介したいと思います。

 

今日も覗いて頂き、ありがとうございました!

 

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